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【文明の危機〜タゴールの放つ警鐘は今なお、、、】”Crisis in Civilization” — Tagore’s Warning Still Rings Out

  昨日(6月16日付)の新聞に、アメリカ(トランプ大統領)とイランとの停戦合意の文字が躍っていた。同じ面に、サッカー日本代表がオランダと2−2のドローで初戦を終え、日経平均株価が七万円に迫る最高値を更新した、とあった。  インドの詩聖タゴールは死の直前にエッセーを残している。その名も『文明の危機』。 "Crisis in Civilization"(English)       遅まきながら拝読し、いささか驚いた。日本の軍国主義を批判した彼が「日出(いず)る国」に期待を寄せていたようなのだ。長いエッセーなので、エッセンスを抽出するように再構成を試みた。彼の詩集『ギタンジャリ』にならって散文形式にまとめた。東洋人の目から見る西洋文明の危機ーー80年を経た現在もそれは変わっていない気がする。  In yesterday’s newspaper, dated June 16, the words “ceasefire agreement between the United States — President Trump — and Iran” leapt from the page. On the same page, I also saw that Japan’s national football team had opened its campaign with a 2–2 draw against the Netherlands, and that the Nikkei average had reached a new record high, closing in on 70,000.  Shortly before his death, India’s poet-sage Rabindranath Tagore left behind an essay. Its title was "Crisis in Civilization." Belatedly, I read it — and found myself somewhat surprised. Tagore, who had criticized Japan’s militarism, nevertheless seems to have plac...

(詩)洗濯おばさん




洗濯おばさんにとって
猛暑ほど喜ばしいものはない
猫の額ほどの庭に
満艦飾よろしく干す洗濯物が
あっという間に乾くからだ

おばさんの仕事は
洗濯である
朝八時に家族の衣類はもちろん
タオルやシーツや布団を干す
狭い庭に効率よく干すには
隙間なく
しかし重なることなく
丁寧かつ迅速に竿へかける
そうして出来た三列の巨きな暖簾の上端を
洗濯バサミで留める
出張洗濯なんぞさせたら
儲かるのではないかと思うほどの
手際よさだ

そして
十時に再び庭へ現れ
今度は物干し台をずらす
暖簾に日光を浴びせるためだ
神経質な性格なのだろう
十時を一分と過ぎたことがない
(多分、タイマーでもかけているのだろう)
なにせ、それが仕事なのだ

さて
その二時間後の正午
昼食前か後か不明だが
午砲(サイレン)とともにまたも現れ
十時同様、台をずらす
鼻歌を歌うでも
楽しげに微笑んでいるわけでもない
これぞ仕事といった表情で
黙々とその作業をこなす

おばさんには
投票率が半数を割ろうが
日韓関係が悪化しようが
関係ない
熱波で犠牲者が続出しようが
洗濯が使命のおばさんである
額の汗を手で拭いつつ
その責務を遂行する
愚痴もない
悲哀もない
まさに生きるとはこういうことだ、と
身を以て示しているようで
崇高なほどだ
おばさんの小柄な身体は
暴力的な熱射を浴びても尚
機敏に動いている
働いている
夏風邪を引きそうなほど
エアコンの利いた議事堂で
金バッヂが
またも差別的言動を無反省にも繰り返すなか
おばさんは
脇と背に汗の地図を滲ませながら
家族のために働いている

おばさんよ
おばさんよ
テレビや勲章とは縁遠い
無冠の庶民よ
その額にきらめく
健気な汗の珠以外に
尊き宝があろうか
バッチたちが振りかざす
「制裁」や「圧力」などより
頼もしく平和な主張があろうか!

蝉時雨の喝采を浴びながら
おばさんは
胸に乾いた旗たちを抱いて
ベランダの奥へ
サンダルだけペタペタ鳴らしつつ
戻る……

【詩】→「ぼくちんエラい!」
   →「ランサムなわたし」
   →「テセウスなわたし」



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