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祝🐍巳年 切り絵動画 ヤマタノオロチ  Happy New Year of Snake Recitation Film"Kojiki (Ancient Japanese Legends),Yamatano-orochi-The Eight-Headed Serpent"" 

  昨年末、突然、腰痛に見舞われた。慣れぬ庭作業で歩行困難に。起床時などは着替えさえ出来なかった。それが始まったのが、ちょうどこの朗読動画に着手した頃である。 「蛇(オロチ)が降りてきた!」  これは退治せねば、と、三週間の格闘と度重なる「書き出し失敗」の末、完成したのが正月二日だった。お陰で、現在はなんとか歩けるまでに痛みは緩和している。悠久の魂魄が息づく神話と対峙するのは容易でない。恐るべし「言霊」である。 At the end of last year, I was suddenly struck by lower back pain. Unfamiliar garden work left me unable to walk. At times, like when getting up in the morning, I couldn’t even get dressed. This all began right around the time I started working on this reading video. “The serpent (Orochi) has descended!” I thought, I must vanquish it. After three weeks of struggle and countless "export failures," I finally completed it on January 2nd. Thanks to that, the pain has now eased to the point where I can walk somehow. Facing myths where eternal spirits reside is no easy task. The power of "kotodama" (the spirit of words) is truly fearsome. 太鼓朗読 古事記「八俣の大蛇」 Taiko Recitation: Kojiki "Yamata no Orochi–The 8-Headed Serpent" JPN Read/ENG Subs

(詩)洗濯おばさん




洗濯おばさんにとって
猛暑ほど喜ばしいものはない
猫の額ほどの庭に
満艦飾よろしく干す洗濯物が
あっという間に乾くからだ

おばさんの仕事は
洗濯である
朝八時に家族の衣類はもちろん
タオルやシーツや布団を干す
狭い庭に効率よく干すには
隙間なく
しかし重なることなく
丁寧かつ迅速に竿へかける
そうして出来た三列の巨きな暖簾の上端を
洗濯バサミで留める
出張洗濯なんぞさせたら
儲かるのではないかと思うほどの
手際よさだ

そして
十時に再び庭へ現れ
今度は物干し台をずらす
暖簾に日光を浴びせるためだ
神経質な性格なのだろう
十時を一分と過ぎたことがない
(多分、タイマーでもかけているのだろう)
なにせ、それが仕事なのだ

さて
その二時間後の正午
昼食前か後か不明だが
午砲(サイレン)とともにまたも現れ
十時同様、台をずらす
鼻歌を歌うでも
楽しげに微笑んでいるわけでもない
これぞ仕事といった表情で
黙々とその作業をこなす

おばさんには
投票率が半数を割ろうが
日韓関係が悪化しようが
関係ない
熱波で犠牲者が続出しようが
洗濯が使命のおばさんである
額の汗を手で拭いつつ
その責務を遂行する
愚痴もない
悲哀もない
まさに生きるとはこういうことだ、と
身を以て示しているようで
崇高なほどだ
おばさんの小柄な身体は
暴力的な熱射を浴びても尚
機敏に動いている
働いている
夏風邪を引きそうなほど
エアコンの利いた議事堂で
金バッヂが
またも差別的言動を無反省にも繰り返すなか
おばさんは
脇と背に汗の地図を滲ませながら
家族のために働いている

おばさんよ
おばさんよ
テレビや勲章とは縁遠い
無冠の庶民よ
その額にきらめく
健気な汗の珠以外に
尊き宝があろうか
バッチたちが振りかざす
「制裁」や「圧力」などより
頼もしく平和な主張があろうか!

蝉時雨の喝采を浴びながら
おばさんは
胸に乾いた旗たちを抱いて
ベランダの奥へ
サンダルだけペタペタ鳴らしつつ
戻る……

【詩】→「ぼくちんエラい!」
   →「ランサムなわたし」
   →「テセウスなわたし」



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