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【クリスマスは孔雀の聖歌で〜W.B.イェイツ「孔雀」】A poetry chant for Christmas Eve. “The Peacock” by W. B. Yeats

  本日はクリスマスイブ。七面鳥がふさわしいところだが、父親の県展入選の写真を使わせてもらうことにして、孔雀でお許しください。真っ白の羽の孔雀だが、動画制作中、彩色の誘惑に駆られ、ヴィジュアルに傾いてしまった。まあ、クリスマスでもあるし、美を意識してのこととご勘弁ください。 戦後80年も、残すところ一週間。戦闘機の代わりに「熊」が襲来する一年だった。来年こそ、まともな年になりますように。。。    動画の詩「孔雀」は、W .B.イエーツ、中期の詩集「レスポンシビリティーズ」所収。世俗的な富より美こそ、と謳う。グレゴリオ聖歌などとても歌えないが、たまには美しいものを、と原文の美麗さに乗って口ずさんだもの。お気に召していただければ幸い。  Today is Christmas Eve.  A turkey would be more appropriate, perhaps, but instead I have borrowed a photograph by my father—one that was once selected for a prefectural exhibition—and ask your forgiveness for presenting a peacock instead. This peacock, with its pure white feathers, was meant to remain unadorned. Yet during the process of making the video, I found myself tempted by color, and the work gradually leaned toward the visual. Since it is Christmas, I hope you will allow this indulgence as an offering to beauty.  Eighty years since the end of the war, with only one week left in the year. It has been a year in which “bears,” rather than fighter jets, came ru...

(詩)洗濯おばさん




洗濯おばさんにとって
猛暑ほど喜ばしいものはない
猫の額ほどの庭に
満艦飾よろしく干す洗濯物が
あっという間に乾くからだ

おばさんの仕事は
洗濯である
朝八時に家族の衣類はもちろん
タオルやシーツや布団を干す
狭い庭に効率よく干すには
隙間なく
しかし重なることなく
丁寧かつ迅速に竿へかける
そうして出来た三列の巨きな暖簾の上端を
洗濯バサミで留める
出張洗濯なんぞさせたら
儲かるのではないかと思うほどの
手際よさだ

そして
十時に再び庭へ現れ
今度は物干し台をずらす
暖簾に日光を浴びせるためだ
神経質な性格なのだろう
十時を一分と過ぎたことがない
(多分、タイマーでもかけているのだろう)
なにせ、それが仕事なのだ

さて
その二時間後の正午
昼食前か後か不明だが
午砲(サイレン)とともにまたも現れ
十時同様、台をずらす
鼻歌を歌うでも
楽しげに微笑んでいるわけでもない
これぞ仕事といった表情で
黙々とその作業をこなす

おばさんには
投票率が半数を割ろうが
日韓関係が悪化しようが
関係ない
熱波で犠牲者が続出しようが
洗濯が使命のおばさんである
額の汗を手で拭いつつ
その責務を遂行する
愚痴もない
悲哀もない
まさに生きるとはこういうことだ、と
身を以て示しているようで
崇高なほどだ
おばさんの小柄な身体は
暴力的な熱射を浴びても尚
機敏に動いている
働いている
夏風邪を引きそうなほど
エアコンの利いた議事堂で
金バッヂが
またも差別的言動を無反省にも繰り返すなか
おばさんは
脇と背に汗の地図を滲ませながら
家族のために働いている

おばさんよ
おばさんよ
テレビや勲章とは縁遠い
無冠の庶民よ
その額にきらめく
健気な汗の珠以外に
尊き宝があろうか
バッチたちが振りかざす
「制裁」や「圧力」などより
頼もしく平和な主張があろうか!

蝉時雨の喝采を浴びながら
おばさんは
胸に乾いた旗たちを抱いて
ベランダの奥へ
サンダルだけペタペタ鳴らしつつ
戻る……

【詩】→「ぼくちんエラい!」
   →「ランサムなわたし」
   →「テセウスなわたし」



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