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【文語のエロティシズム】〜蒲原有明『有明集』から「愛欲の詩 四篇」を。

  文語(明治期)の色気を求めて土井晩翠から探索を始めたが、「詩人」のバロディーが浮かんだだけで、格調高いがエロティシズムは残念ながら見出せず、続く詩人として「蒲原有明」を読んでみた。  複雑な語彙やリズムを駆使した象徴派詩人として、『独絃哀歌』『春鳥集』『有明集』などを発表。薄田泣菫と併称され、北原白秋、三木露風らに影響を与えた。   蒲原有明(Wikipedia)  死とエロスの香り漂う「われ迷ふ」を作曲してみたが歌で終わるのが物足りなく、朗読することに。  文語の色気をご堪能あれ。 **The Eroticism of Literary Japanese** — Four Poems of Desire from Kambara Ariake’s *Ariake-shū* In search of the sensuality of Meiji-period literary Japanese, the exploration began with Doi Bansui. But aside from the parody “The Poet,” what emerged was grandeur and dignity rather than eroticism. So the search moved on to Kambara Ariake, one of the major poets who emerged after Doi Bansui. A Symbolist poet known for his intricate vocabulary and rhythms, Ariake published such collections as *Dokugen Aika*, *Shunchōshū*, and *Ariake-shū*. Often mentioned alongside Susukida Kyūkin, he went on to influence poets including Kitahara Hakushū and Miki Rofū. from "Kambara Ariake (Wikipedia)"  蒲原有明(Wikipedia) A musical setting was first made f...

(詩)「お人好し」



4歳のぼくは
買ってもらったばかりのミニカーが
ダンプカーに押し潰されるのを
おばちゃん家で泣く泣く見てた
今は冗談好きのYちゃん怖さに

8歳のぼくは
らっしょんペンの透明ケースを
カッターで切られたのを
教室で黙っていた
今は弁護士・Kやんに勝ち目なくて

11歳のぼくは
先生に頼まれたエタノール瓶の蓋が
もうちょっとで開くとこを
「俺が俺が」の腕に譲ってあげた
今は施設長・Sくんを立てて

14歳のぼくは
踊り場にさしかかったところ
脳天にタバコ臭い唾が落ちたけど
知らぬ顔で友と談笑を続けてた
今は教師のTくんを誰も叱れなかったし

16歳のぼくは
誇らかに手紙で誘ってた「太鼓打ち」が
龍の尻尾に急きょ替えられたのを
歯噛みしながら炎天下を舞っていた
今は何処のFちゃん、こっちだよ、と

32歳のぼくは
キューピット役が自慢げに
憧れと観劇に行ったと告げるのを
怒りを通り越し呆然と聞いていた
今はぼくなど屁とも思わぬ売れっ子作家

48歳のぼくは
嬉しさと寂しさ紛れの賛辞メールに
「ウザい」「嘘臭い」と貶されるのを
「ごめん、ごめん」と涙の謝罪
今はぼくなど「one of them」の教室スター

還暦も遠からぬぼくは
やまぬ違反に息巻き110番
しかし、「相手も反省してる」と肩叩かれ
しぶしぶ放免してしまう
気弱にやさしい目利きに歯噛み

さて、卒業式に向かうぼくは
これでつらい授業も終わり、と切符売り場
そこへ「済みません、ここ初めてで……」
母を思わす猫背老婦に、路線図の蜘蛛の巣を指す
発車ベルを頭上に聴くぼくは、永遠のお人好し

【詩】→「ぴんぴん小僧IKU NO SKE」
   →「生まれる前から知っていた」
   →「空襲前夜」


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