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注目

【八代亜紀・舟唄に学ぶ〜装い新たに】『山茶花(さざんか)』

 大昔、太鼓と共に歌ったことのある詩を再現。  尺八、アコギ、ストリングスで演出。編集には、八代亜紀の「舟唄」を何度も聞いて学ぶ。 編曲の力は絶大。まさに生殺与奪、その詩、曲を生かすも殺すもアレンジ次第と痛感させられた。  I recreated a poem I once performed long ago, singing it alongside taiko drums. This time I arranged it with shakuhachi, acoustic guitar, and strings. While editing, I studied by listening to Yashiro Aki’s “Funauta” over and over. (Yashiro Aki is the late Japanese Singer.)The power of arrangement is immense—truly a matter of life and death. It made me realize, painfully, that whether a poem or song is brought to life or ruined depends on the arrangement.

(詩)「お人好し」



4歳のぼくは
買ってもらったばかりのミニカーが
ダンプカーに押し潰されるのを
おばちゃん家で泣く泣く見てた
今は冗談好きのYちゃん怖さに

8歳のぼくは
らっしょんペンの透明ケースを
カッターで切られたのを
教室で黙っていた
今は弁護士・Kやんに勝ち目なくて

11歳のぼくは
先生に頼まれたエタノール瓶の蓋が
もうちょっとで開くとこを
「俺が俺が」の腕に譲ってあげた
今は施設長・Sくんを立てて

14歳のぼくは
踊り場にさしかかったところ
脳天にタバコ臭い唾が落ちたけど
知らぬ顔で友と談笑を続けてた
今は教師のTくんを誰も叱れなかったし

16歳のぼくは
誇らかに手紙で誘ってた「太鼓打ち」が
龍の尻尾に急きょ替えられたのを
歯噛みしながら炎天下を舞っていた
今は何処のFちゃん、こっちだよ、と

32歳のぼくは
キューピット役が自慢げに
憧れと観劇に行ったと告げるのを
怒りを通り越し呆然と聞いていた
今はぼくなど屁とも思わぬ売れっ子作家

48歳のぼくは
嬉しさと寂しさ紛れの賛辞メールに
「ウザい」「嘘臭い」と貶されるのを
「ごめん、ごめん」と涙の謝罪
今はぼくなど「one of them」の教室スター

還暦も遠からぬぼくは
やまぬ違反に息巻き110番
しかし、「相手も反省してる」と肩叩かれ
しぶしぶ放免してしまう
気弱にやさしい目利きに歯噛み

さて、卒業式に向かうぼくは
これでつらい授業も終わり、と切符売り場
そこへ「済みません、ここ初めてで……」
母を思わす猫背老婦に、路線図の蜘蛛の巣を指す
発車ベルを頭上に聴くぼくは、永遠のお人好し

【詩】→「ぴんぴん小僧IKU NO SKE」
   →「生まれる前から知っていた」
   →「空襲前夜」


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