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「ケツ」と「胃」を井伊直弼は?広島忌 |
「今生きているありふれた平和の中に少しでも引っかかりを感じて、平和について何か考えるきっかけになればなと思います」
朝8時からラジオで聴いた広島平和記念式典。その中で最も小生の心を打った言葉である。
発言の主は広島県立舟入高校演劇部で舞台監督を務める「なだみのり」さん。舟入高校演劇部は、解説によると、50年に亘ってオリジナルの原爆劇を上演し続けていきた、とのこと。今年は、一昨年に亡くなった佐伯敏子さんの体験をもとに制作されたそうである。題して「またあいましょう」。原爆で13人もの親族を亡くした悲劇を修学旅行生に伝えてきた敏子が最後に投げかけてきた挨拶らしい。
式典は、演劇部インタビューの前に、式次第に従って広島市長、安倍総理、広島県知事の挨拶が続いていた。印象に残っていたのは、知事の危機感迫る呼びかけと、市長が紹介した、当時5歳で被爆された村山季美枝さんの短歌ーー「おかっぱの頭(づ)から流るる血しぶきに妹抱きて母は阿修羅に」ーーくらいで、総理のご挨拶など、もはや八方美人的麗句にしか聞こえなかった。ああ。何とは無しに形骸化が案じられていた矢先だけに、演劇部員たちの声に救いを覚えた。そのインタビューの一部始終を以下に略述する。
主役の佐伯さんを演じるのは舟入高校3年生の篠崎茜さんです。
「篠崎さん。どんな気持ちで佐伯さんを演じますか」
「佐伯さんの本来の語りを明るくとらえて、前向きな力に変えていけるような思いで取り組みました」
「難しかったことはありますか」
「やはり、実際にいらっしゃった方のお話を再現していますので、見ている方に誤解を与えないように伝えるということがやはり難しいことでした」
「具体的にどんなことされたんですか」
「はい。まず部員全員で佐伯さんが実際に書かれた手記を見て、情報を集めて部内で共有するということで取り組んでいきました」
今年で50年目のこの原爆劇。実は、毎年生徒達が続けるのかどうかを話し合って決めています。舞台監督を務める3年生のなだみのりさんです。
「自分たちが続ける上で大切だと思ったのは何ですか」
「私たちはありのままを伝えることを大切にしています。その当時のことを知らないからこそ、たくさんのことを学んで、ありのまま、あの時のままを伝えることを大切に考えています」
「被爆体験を演劇で伝えることにどんな意味を感じてますか」
「演劇は光や音や衣装などで、より当時のことを現実感を持って伝えることができると思っています。だからこそ嘘はつけませんし、そのままをたくさん勉強して伝えていかなくてはならないと思っています」
「その原爆劇。見る人にどんなことを感じてもらいたいですか」
「今生きているありふれた平和の中に少しでも引っかかりを感じて、平和について何か考えるきっかけになればなと思います」ーー
「決意です」で閉めた安倍総理。そこに「嘘」の有無を問う野暮の代わりに、小生なりの句を捧げたい。
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