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【我が道を行け!】詩「ホットケーキ」/ Do your own thing! Poem "Hotcake"

 「え? それ、この前言ってたのと違うよ。。。」  ああ、人というのは如何に当てにならぬものか。  ということを詠みました。 “Huh? That’s different from what you said before…” Ah, how unreliable people are. I put that into verse.

(詩)盆の仏





フードコートに
仏がいた
四人掛けテーブルの仕切り側
向かいに孫らしき男の子が
ポケットゲームに夢中
その隣りが空席で
重いリュックを下ろしながら腰掛けると
肥満気味の七十仏が
背凭れに踏ん反り返ったまま
片手で蝿でも払うように
「にいさん、そこ、おる。おる」と
私をしきりに扇ぐ
「にいさん。そこ、おる、おる」ーー
さすがに「退け!」とは言わぬが
迷惑げに振る手がそう命じていて
優しい私は睨み返しつつ立ち上がり
合掌した

折りしも時刻はランチ・タイム
なかなか席が見つからない
窓際のカウンターを探すが
若い母親が隣におねんね中の赤子
その隣にブランケットやぬいぐるみ
食事するのは彼女だけというのに
三人分の椅子を占有
女仏に合掌しつつ奥へ進むと
またもゲーム男児の横が空席
ほっとひと息つきつつ座ると
いきなり彼がゲームから頭を起こすと
鄭重な口調で先客の存在を告げる
さっきの老仏より余程礼儀を弁えていたが

それにしても
公共のスペースで席の確保を訴えるのは
どうにも腑に落ちない
その隣りに黙して座していた
父親か祖父らしきに
聞こえよがしの嫌味を吐きつつ
二人に合掌を返す
悔しさに「南無」なのだ

おう
ラーメン、丼、バーガー、ドーナツ・スタンドに
温和しく立ち並ぶ盆休みの仏らよ
そのお慈悲を内輪にだけとどめるというのは
貴殿らが軽侮する政治家先生同様
偽善ではあるまいか

もっとも
重い荷を背負い席を探す哀れな部外者も
貴殿らと同様の仏なのだと
認めようとなさらぬなら別だが……

【詩】→「No Hell Show」
   →「洗濯おばさん」

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