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【狂言小唄】『笑いの呪文』(超絶誤訳・音声変換)原作:ヴェリミール・フレーブニコフ

  我が国は西側陣営なので、ロシアの情報はなかなか入ってこない。いや、「敵側」のフィルターがかったものばかり、という印象だ。大昔、成人祝いに『ドストエフスキー全集』を古書で買おうとしたほどのロシア文学ファンである小生は、そこで、ロシア詩でも朗読してみるか、と調べるなかで出会ったのがヴェリミール・フレーブニコフの『笑いの呪文』だった。  しかし、学生時代、せいぜいドイツ語を第二外国語として学んだだけの小生には、ロシア語の音読などハードが高過ぎる。それでもアプリ再生で練習を重ねるうちに、「超絶誤訳・音声変換」で読むことを思い付いた。難しいロシア語発音を日本語に当てて、忠実な翻訳ではない、全く別の詩作を試みることにしたのである。折りしもイラン戦争中で、そんな情勢にも触発を受けることとなった。  狂言風に詠んでみた。(謳ってみた)。もともと「笑いの呪文」だけに、狂言が合っていると思った。動画は映像を添えられるので、言葉と絵のコラボが互いの「語られない部分」を補ってくれる。そのギャップが際立つものが出来たと思う。  As our country belongs to the Western bloc, information from Russia is not easily accessible. Or rather, much of what we receive feels filtered through the lens of an “enemy.” As someone who has long been fond of Russian literature—so much so that I once considered buying a second-hand complete works of Fyodor Dostoevsky as a coming-of-age gift—I found myself wondering if I might try reading Russian poetry aloud. It was in that process that I encountered Velimir Khlebnikov’s "Incantation by Laughter."  However, having studie...

【逸脱も楽しかりけりゲンダイシ】 〜平川綾真智 『ごきげん中飛車の授乳』(「オオカミアンソロジー2019年」所収)を読んで


「色々取り入れた作品なので、ご自由にお読み下さい」ーー。
 繰り返し読んだ。棋譜を傍らに、符号を確認しつつ読んだりもした。ひょっとして、それらの位置を線で結べば文字になり、読み解けるのでは、などとーー。

 が、松本清張(『点と線』)ではあるまいし、そんな安っぽいミステリーを大兄が物すはずない。しかし、分かりたい。ああ、もう恥も外聞も捨てて、尋ねるしかない!ーと意を決して助言を求めた際のご回答が冒頭であった。

 以前、平川氏の作品を「面白いぞ!現代詩」というWeb(ツイッター)で拝読した。それはエロチシズムに満ちた、ちょっとキケンな印象の内容と記憶している。それはエログロ趣向の私にヒットした。平川氏とは、前年秋のポエトリースラム福岡で初めてお会いした。私のいささかヤバい朗読に、身の余る感想を頂いた。そうしたご縁もあり、今回のアンソロジーをツイッターで知り、購読に至ったわけである。

 さあ、今度はどんなエロスが繰り出されるだろう、とワクワクしつつページを開いた瞬間、面食らった。

乳房を露わにしたツノ銀中飛車が、うちに泊まりに来て△5四歩が食べたり飲んだり、たいして生えてもいない通算15期名人獲得を剃ろうーー(本作冒頭、引用)

 うぬぬ???ーー小学4年で将棋をやめてしまっていた私は、しかし、「乳房」だの「剃る」だのと言った、ちょっとヤラシイ単語に惹かれて、「ツノ銀」云々を調べてみる。と、その陣形は確かに両ツノが尖ったような形で、乳房露わな女に見えなくもない。。。

 と、まあ、そんなアンバイで読み進めることになった。タイトルの「授乳」を頼りに、駒や実在の棋士や陣形(タイトルの「ごきげん中飛車」もその一つ)を人物と見做して再婚(らしき)ドラマを辿る。未熟児、保育園……。実に現代的な生活臭が盤上に匂い立ってくる。肌、豊胸……は、エロ黒い同志(失礼)のキーワードだ。萌える!!

 ことわっておくが、これはあくまで私の読みかたである。「ご自由に」とのお許しあっての、楽しみ。そもそも、詩人に詩の解釈を尋ねること自体が野暮なこと。「国語」のテストじゃないのだ。

 何だか、レビュー以前のようで、お恥ずかしいばかり。それゆえ、現在(いま)も折に触れ読み返している。謎が謎を呼ぶーーというか、噛めば噛むほど新たな別の味が発見出来る快感? 丁度、ピカソやダリの抽象画を前にしたような、無視しようにも無視出来ぬザワメキ。アンソロジーの他作品が明確な場面設定と感傷味で書かれている印象のなか、この詩は確かに一見難解ながらも、その奇抜さが却って悪魔的魅惑を殊の外放っている。現代詩マニアは、このモニター(Kindle)の上に鼻血の花弁を「逸脱」することだろう!


 逸脱も楽しかりけりゲンダイシ



  


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