人形セラピー？！ （ブレイバックシアター「ゆめみるきかい」 五味伸之 出演／山下耕平 人形創作）

まずは
自身の心象風景を
左右に置かれたキャラクターやオブジェで
形作っていく
「黒いひと」は死神
「ハート」は愛情など。。。
ぶつぶつ独りごちながら
底の小さなドットにそれらを刺して立ててゆく
やがて出来上がったのが
上の図だったーー

実に息苦しいほど
真ん中に集中していた
まさに私の「切迫感」だった
ブラックホールの中心へ
圧殺されるがごときドン底感だった
見ていて苦しい
自分で作っていながら。。。

さあ
ここで聞き役だった五味氏の登場だ
向かい側で私の救いのない喋りと箱庭作りを
否定も説教もなく聞き入っていた彼が
こう訊いてきた

「では、この苦しさを取り除く、
もしくは
これは大事と思うものだけで
作り直してみますか？」

私は再び
刺したモノたちをつまみ
余計なものを排除していった
「余計」というか
「抱え続けるには些かツラいモノ」をーー
そうして再構成されたのが
下の図である

相変わらず
真ん中の「私」は真ん中のままだが
そばにいた「死神」は消えた
赤黒い「怨念」や
空しい「心」もーー
感想を訊かれた私は言った
「生きるとは苦しみ
そう簡単に幸福などとは言えない
ただ
他者の不幸の上に
我が幸福はないのだろうな、とは
改めて思った」とーー

なんだか
優等生的回答だったが
自身で作った箱庭と相対した時
それは率直な心境だった

言っておくが
このイベントは「セラピー」ではない
画家・山下耕平氏の作品と
出演者・五味伸之氏との語りが紡ぎ出す
「箱庭」である
その
客自らの手で構成された「風景」が
逆照射するように
客に無言の気づきを与えてくれる
それは
時にやさしく
時に残酷に。。。

帰宅後
私は夜中に寝汗で目を覚ました
じっとりと
まるで風邪でも引いたように
全身が濡れていたのだ
確かに私はその夜
恥も外聞も捨てて
バレンタイン・デーに相応しくない
自らの恥部を公然と暴露した
人形だからって
「子供のお遊び」に捉えたくなかった
それは作者たちにも失礼だ
折しも
朗読会で披露する物語も語った
そこには「鬼女」が登場する
私はその鬼にやられたのだ
「お前、よくぞ他人に漏らしたな！」とーー

「ゆめみるきかい」
思い出すことも出来ぬ悪夢を
どうやら見たのかも知れない
身体は
無意識は
正直である
「箱庭」のキャラクターたちは
皆微笑ましいほどキュート揃いだったが
見せてくれるものは
意外とシビア？？？


【追記】
　この夜に語った朗読「すぴんおふ能　仇ちケ原」を、明日16日に「福岡ポエトリー」で披露する。心してかからねば、と今から緊張だ。「鬼」にまた食われぬように！

「福岡ポエトリー」


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「ゆめみるきかい」
２月１４日（金）１９：００開演
会場：福岡市赤煉瓦文化館

出演・演出　五味伸之
美術・人形創作　山下耕平