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【二百年前の強き日本で候】本日2月18日「異国船打払令」発令日(文政八年 1825年)/What Guts! “The Edict to Repel Foreign Ships”(1825)

 ちょうど二百年前の今日、1825年の2月18日、 文政の「異国船打払令」、いわゆる「無二念打払令」が発令された。 その強きな姿勢に、初めて正式文書を読んだ私はいささか驚いたと同時に、逞しさを覚えた。 現代日本と「何たる違いだ!」と。  尤も、この後から情勢は急変、開国へと向かうわけだが、「いうべきことは言う」といった当時の幕府のポリシーと心意気が頼もしくうかがえる。まさに、武士道である。  ああ、しかし、今やそれも遠い過去となってしまったのか。。。  一縷の希望?を託したシャッフル・ビート(朗読)をお楽しみください。 Exactly two hundred years ago today, on February 18, 1825, the Edict to Repel Foreign Ships, also known as the No-Second-Thoughts Repel Order, was issued during the Bunsei era. When I read the official document for the first time, I was both surprised by its resolute stance and impressed by its boldness. I couldn’t help but think, "How different this is from Japan today!" Of course, the situation changed rapidly after this, eventually leading to the opening of the country. However, the shogunate’s policy and spirit at that time — one of “saying what must be said” — left me feeling reassured and inspired. This was truly the essence of Bushido. And yet... has all of that become nothing more than a distant memory? Please...

(書評)こころに残る芥川賞作品 〜河童忌に寄せて





 本日7月24日は芥川龍之介の命日。ご存知の通り、彼は1927(昭和2)年、35歳の若さで自ら命を絶った。当時の文豪である。その事件が及ばした衝撃は現在の比ではなかろう。彼ほどの天才は三島以降、現れないのではなかろうか。実に狂気と天才は紙一重である。

 さて、芥川本人について述べるのは専門家に任せるとして、本日は小生の心に残っている「芥川賞受賞作」について書こうと思う。物書きに憧れ、受賞作を意識的に読み始めたのは学生時代。もう四半世紀以上昔のことだ。歴代受賞作を追って、大学図書館の書庫から「文藝春秋」の掲載号のバックナンバーを借りまくったものである。ただ、この五、六年は遠ざかっている。敬愛していた池澤夏樹が選考委員を引退されたのもあるし、ニュース報道や、売らんかなの広告にも辟易しているからだ。直感も、か。「読みたい!」という気が起きない。他に読むべきものが多過ぎる。。。

 ちっ。偉そうに! 批判よりも賞賛をーーということで、本題に戻ろう。
 以下、独断と偏見で感想を述べる。記憶も曖昧。ご了承を。
 

私のこころに残っている芥川賞受賞作(順不同)

『村の名前」辻原登

 大学図書館の『春秋』で初めて読んだ。この作品で、作家を無謀にも志すことになる。蒸し暑さが肌にしぶとく残る。長い長い旅に連れまわされる。それがクセになる。

『苦役列車』西村賢太

 赤裸々な私小説。気取りがない。力強い。ちょっと中上健次を彷彿する。いいね。自虐も徹底すれば傑作になる。還暦祝の自分史とは訳が違う。

『鯨神』宇能鴻一郎

 鯨との戦いが凄まじい。作家はのちに官能へシフトした。

『壁 S・カルマ氏の犯罪』安部公房

 安倍は好かんが、安部はファンである。芝居も書くから、二刀流のフランスの文豪S・ベケット同様、彼らに肖り、戯曲も未だに諦めてない。アーティストの印象。

『限りなく透明に近いブルー』村上龍

 言わずと知れた問題作。映画にもなった。ひところ、全作品読破を目指したが、『半島を出よ』のあと、「カンブリア宮殿」同様、ちょっと離れている。

『或る「小倉日記」伝』松本清張

 涙が出る。主人公が探していた鴎外日記が、彼の死後に別のところで出てくるのだ。彼の人生は何だったんだ。何だか我が身のようで痛い。が、それもクセになる。。。

『水滴』目取真俊

 小生が県入選作を受けた「九州芸術祭文学賞」。『水滴』は芥川賞受賞の年の、最優秀賞として「文學界」に掲載され、それが受賞作となったのだ。ガルシア=マルケス張りのグロテスク・リアリズム。目取真の短編が良き!

『日蝕』平野啓一郎

 白紙ページが続く驚愕作。受賞の年、上記「文学賞」授与式に参加した小生は、最終選考委員だった村田喜代子(『鍋の中』で芥川賞)に「あなた、今年の芥川賞読んだ? 擬古文体よ。あなたみたいな博多弁の一人芝居なんか受けないわよ」と指摘されたから、当作はよく覚えている。彼は現代純文学作家でトップではないだろうか。量も質も高水準。映画にもなる。いや〜、努力の天才。カッコ良過ぎ。ただただ脱帽!

『夏の流れ」丸山健二

 刑務官が主人公。ラスト、囚人が執行される瞬間に叫ぶひと声ーー今でも耳に響くようだ。当時、最年少受賞者(23才)ということで持て囃され、それが嫌さに、文壇から完全に遠ざかったという孤高の人。『白と黒の十三夜』という短編が好きだが、それ以降、遠のいている。文体が、短いセンテンスで活写する当作とは真逆の冗漫で修飾過多なだご汁になってしまったからだ。惜しい限り。。。

『abさんご』黒田夏子

 横書き小説ーーという意味で感動した。内容はどうってことない。が、この書式に授与するという寛大さにも感動を覚えた。「なんだっていいのだ!」と。


 列挙するとキリがないので、この辺りで。
 そうそう。読まなくなったのは、確か『abさんご』以降だ。池澤夏樹が指摘していた「内向き」に飽きたからか。中上健次なんか、洗練とは程遠い文章だったが、その独特な粘着表現は濃厚で暑苦しいものの、体を揺するがごとき圧感だった。( 『岬』を挙げたかったが、この文章で代替する)それをバブル以降のデジタル・ネイティブに求めるのは無茶な話である。みんな、白く細い指でタブレットを撫でるんだもの。鶴嘴だの松明だの握ってきた野獣には勝てない。
 あっ。それもそのはず。このところ、女性が続いているのだもの。『サラダ記念日』は三十年前か? その種の風が文壇に改めて吹いてきたのか。男子が草食化し、野獣は絶滅か。ご飯に味噌汁は、コーヒーにクロワッサン? いや。ハルキストのごとく、パスタにスクランブル・エッグ?
 健次が生きていたら、張り倒されそうな、令和の文学界である。。。

【紹介本】

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