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祝🐍巳年 切り絵動画 ヤマタノオロチ  Happy New Year of Snake Recitation Film"Kojiki (Ancient Japanese Legends),Yamatano-orochi-The Eight-Headed Serpent"" 

  昨年末、突然、腰痛に見舞われた。慣れぬ庭作業で歩行困難に。起床時などは着替えさえ出来なかった。それが始まったのが、ちょうどこの朗読動画に着手した頃である。 「蛇(オロチ)が降りてきた!」  これは退治せねば、と、三週間の格闘と度重なる「書き出し失敗」の末、完成したのが正月二日だった。お陰で、現在はなんとか歩けるまでに痛みは緩和している。悠久の魂魄が息づく神話と対峙するのは容易でない。恐るべし「言霊」である。 At the end of last year, I was suddenly struck by lower back pain. Unfamiliar garden work left me unable to walk. At times, like when getting up in the morning, I couldn’t even get dressed. This all began right around the time I started working on this reading video. “The serpent (Orochi) has descended!” I thought, I must vanquish it. After three weeks of struggle and countless "export failures," I finally completed it on January 2nd. Thanks to that, the pain has now eased to the point where I can walk somehow. Facing myths where eternal spirits reside is no easy task. The power of "kotodama" (the spirit of words) is truly fearsome. 太鼓朗読 古事記「八俣の大蛇」 Taiko Recitation: Kojiki "Yamata no Orochi–The 8-Headed Serpent" JPN Read/ENG Subs

詩「あいにく」




「あいにくの雨」と
お天気おネエさんはいいます
「あいにく」って
「生きるのが憎い」と
書くんですね
そんなに雨って
憎らしいですか?

あたしは逆で
雨だと
必ず河童さんに会えるから
好きです
誰もいない河原へ
「会いに行く」のです

河童さんは
漂流物を楽器にして
即興演奏してくれます
片目に眼帯のあたしは
(ものもらい、なのです)
そのクセナキス 張りの超絶技巧に合わせて
舞踏を披露します
服が濡れてもへっちゃらです
あたしは雨の中
全身から湯気を上げつつ
乱舞します
ヤなことが全部消えます
そのうち
踊ってるあたしも消えます
そこだけ
飛沫の柱が回転し
竜巻となって
天と地を結びます
そのエネルギーたるや
地球を貫きそうなほど

季節があるのは
軸が少し傾いてるからと
理科の授業で教わりました
傾いてていいんです
真っ直ぐでなくたっていいんです
妙に優しくなくても
昨夜は塾で
「インギンブレー」を学びました
丁寧過ぎてかえって失礼という意味らしい
そうです
毎日、晴れてたら
地球に無礼です
草や木が育たない
人間だってそうです
ずっと晴れが続いたら
ひと雨欲しいって言います
まったく都合がいいのです

そんなおとなを吹き飛ばしたくて
あたしは無礼をやるのです
裸足で雨の中を
「ダメ」と言われてる河原で
竜巻になるのです
インギンブレーの礼服は
カモメの翼に飛び去り
透明で巨大な三つ編みと化して
天地を結ぶ
「水兵リーベ僕の船」を
遥か眼下に見下ろしつつ
ガイアのあたしは
河童さんの鼓動のような連打に鼓舞され
錐揉み式に伸張する
雲を抜け
大気圏を突き破り
ブラックホールを縛りつつ
宇宙の端をUターン

会社員のパパのパパのパパのパパの……
事務員のママのママのママのママの……
二重螺旋を繋ぎ合わせた距離も
それくらい?

目眩がして
ようやくT字に止まると
河童さんが
やじろべえに揺れていた
霧雨の山の端に
陽光が斜めに射している
薄く虹が掛かっていた

「憎い」うちは
リーベだね?



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