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【白秋はロックな詩人〜北原白秋「邪宗門秘曲(ロック)」】

  北原白秋、と聞くと、真っ先に童謡のイメージを抱く。しかも、金子みすゞと並んで教科書に載るような実に優等生的名作ばかりで、荒みきった小生には退屈で仕方ない。だから、長い間ノータッチだったのだが、ふと「邪宗門」という言葉に引っかかるところがあり、「青空文庫」を閲覧してみて仰天した。かくもキレキレの白秋にお目にかかるのは、遅まきながら初めてだったのだ。童謡のイメージが見事に粉砕された瞬間だった。と同時に、ロックビートが耳に蘇ってきて、それで朗誦することにした。詩人の若き時は、なぜこうも尖っているのだろう。歳を取り名声や勲章を手にすると、鋭さはなまってしまうのか。政治にしろ芸術にしろ、「みんなに愛される」のは、結局「誰にも愛されない」ことか。「嫌われ者」が理想?  When I hear the name Kitahara Hakushu, the first thing that comes to mind is children’s songs. And not just any children’s songs, but those impeccably “model-student” masterpieces that seem to belong in school textbooks alongside the poems of Kaneko Misuzu. For a jaded fellow like myself, they were simply too wholesome to be interesting.  So for a long time, I left Kitahara completely untouched. But one day, the word Jashūmon somehow caught my attention. I looked it up on Aozora Bunko—and was astonished.  This was the first time, late though it may have been, that I had encountered such a sharp-edged, dazzlingly intense Hakushū. In that moment, my image...

詩「あいにく」




「あいにくの雨」と
お天気おネエさんはいいます
「あいにく」って
「生きるのが憎い」と
書くんですね
そんなに雨って
憎らしいですか?

あたしは逆で
雨だと
必ず河童さんに会えるから
好きです
誰もいない河原へ
「会いに行く」のです

河童さんは
漂流物を楽器にして
即興演奏してくれます
片目に眼帯のあたしは
(ものもらい、なのです)
そのクセナキス 張りの超絶技巧に合わせて
舞踏を披露します
服が濡れてもへっちゃらです
あたしは雨の中
全身から湯気を上げつつ
乱舞します
ヤなことが全部消えます
そのうち
踊ってるあたしも消えます
そこだけ
飛沫の柱が回転し
竜巻となって
天と地を結びます
そのエネルギーたるや
地球を貫きそうなほど

季節があるのは
軸が少し傾いてるからと
理科の授業で教わりました
傾いてていいんです
真っ直ぐでなくたっていいんです
妙に優しくなくても
昨夜は塾で
「インギンブレー」を学びました
丁寧過ぎてかえって失礼という意味らしい
そうです
毎日、晴れてたら
地球に無礼です
草や木が育たない
人間だってそうです
ずっと晴れが続いたら
ひと雨欲しいって言います
まったく都合がいいのです

そんなおとなを吹き飛ばしたくて
あたしは無礼をやるのです
裸足で雨の中を
「ダメ」と言われてる河原で
竜巻になるのです
インギンブレーの礼服は
カモメの翼に飛び去り
透明で巨大な三つ編みと化して
天地を結ぶ
「水兵リーベ僕の船」を
遥か眼下に見下ろしつつ
ガイアのあたしは
河童さんの鼓動のような連打に鼓舞され
錐揉み式に伸張する
雲を抜け
大気圏を突き破り
ブラックホールを縛りつつ
宇宙の端をUターン

会社員のパパのパパのパパのパパの……
事務員のママのママのママのママの……
二重螺旋を繋ぎ合わせた距離も
それくらい?

目眩がして
ようやくT字に止まると
河童さんが
やじろべえに揺れていた
霧雨の山の端に
陽光が斜めに射している
薄く虹が掛かっていた

「憎い」うちは
リーベだね?



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