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注目

【白秋はロックな詩人〜北原白秋「邪宗門秘曲(ロック)」】

  北原白秋、と聞くと、真っ先に童謡のイメージを抱く。しかも、金子みすゞと並んで教科書に載るような実に優等生的名作ばかりで、荒みきった小生には退屈で仕方ない。だから、長い間ノータッチだったのだが、ふと「邪宗門」という言葉に引っかかるところがあり、「青空文庫」を閲覧してみて仰天した。かくもキレキレの白秋にお目にかかるのは、遅まきながら初めてだったのだ。童謡のイメージが見事に粉砕された瞬間だった。と同時に、ロックビートが耳に蘇ってきて、それで朗誦することにした。詩人の若き時は、なぜこうも尖っているのだろう。歳を取り名声や勲章を手にすると、鋭さはなまってしまうのか。政治にしろ芸術にしろ、「みんなに愛される」のは、結局「誰にも愛されない」ことか。「嫌われ者」が理想?  When I hear the name Kitahara Hakushu, the first thing that comes to mind is children’s songs. And not just any children’s songs, but those impeccably “model-student” masterpieces that seem to belong in school textbooks alongside the poems of Kaneko Misuzu. For a jaded fellow like myself, they were simply too wholesome to be interesting.  So for a long time, I left Kitahara completely untouched. But one day, the word Jashūmon somehow caught my attention. I looked it up on Aozora Bunko—and was astonished.  This was the first time, late though it may have been, that I had encountered such a sharp-edged, dazzlingly intense Hakushū. In that moment, my image...

ステキな一日?


昨日は、奇跡的に連日続いていた倦怠感がなくなっていて
「午後から大雨」という予報を無視して
一時間以上かかるポエトリー会場まで行く気になった
悪天にもかかわらず会場はかなりの人数になった
私は付け焼き刃とあって稽古不足の歌舞伎調は数度噛んでしまった
おまけに払えないのに同人誌を求めてしまい
恥をかくとともに、歌人のかたにも顰蹙を買うこととなった(涙)

些か忸怩たる思いを抱いて会場を出、地下鉄に乗った
開くことのなかった傘を杖のようにして着座すると
いかにも「部活(大会)帰り」といった
「FILA」シャツの女子二人が斜め前に並んで座していた
彼女らの一人が私を一瞥するなりニヤッと隣りへ笑いかけた
私のいでたちーーサングラスに無精髭
役作り(大泥棒・ぴんぴん小僧IKU NO SUKE)のためのゼブラ縞シャツが
いかにも盗人といった印象を与えたのだろう
その娘がなぜか身を真後ろの窓ガラスへひねり
自撮りをするように手にしていたスマホで撮影する
それから元の姿勢に戻ると、画面を苦笑しながら撫でて
やはり隣りに見せている
そうしてLINEにでも投稿し
「泥棒さん見っけ」などと言って
仲間内で笑い合うのだろう

私はサングラス越しにその挙動を睨んでいたが
正面を向いた娘は私をチラッとも見ず
しかしニヤけ微笑は浮かべたまま平然と座している
私はよほど娘を怒鳴りつけてやろうかと思ったが
もう駅に着く頃だったし
少々疲れてもいたので我慢した
ひょっとして盗撮など思い過ごしかも知れないではないか
いや
わざわざ背を私に向けるように捻って自撮りするというのは
盗撮に間違いない
くそっ! なんて日なんだ!
駅は終点だったので
私はいったん降りたが
むかっ腹が収まらず鉢合わせないものかとホームを引き返した
が、突き当たりまで行ってもすれ違うことはなく
結局、胸中で悪態をつきつつ乗り換え駅に向かった

ちっ。ああして他人を笑い者にする娘など
立派な大人になれるはずない
いやいや
そういう俺だって
弱いものイジメはしてきたし
今だってこうして他人を悪罵する
その結果(あるいは、その原因?)
俺は幾つになってもウダツのあがらぬ老いらくだ
ああ、今日はホントに素敵な一日だぜ!

荒む心と楽しげな顔たちを肩で切りながら
地下街を歩いていると
不意にその日の朝のラジオを思い出した
「私は私を褒めたい」で一躍有名になった元女子マラソン選手
有森裕子のインタビューである
彼女のコーチだった小出監督の言葉
「せっかく」ーー

物事には意味がある。いや、意味を持たせる。
だから、故障したとしても「なんで」と嘆くのでなく
「せっかく故障したのだから、休もう」
「せっかく故障したのだから、今、出来ることをやろう」
全てをポジティブに解釈するのだ、とーー。
(「ラジオ深夜便」明日への言葉 6月29日から)

なるほど、じゃあ「せっかく盗撮されたんだから、これをネタにするか」……。

私は怒りに高ぶる胸を
そうして何とかクールダウンさせつつ駐車場に向かったのだった








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