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注目

【白秋はロックな詩人〜北原白秋「邪宗門秘曲(ロック)」】

  北原白秋、と聞くと、真っ先に童謡のイメージを抱く。しかも、金子みすゞと並んで教科書に載るような実に優等生的名作ばかりで、荒みきった小生には退屈で仕方ない。だから、長い間ノータッチだったのだが、ふと「邪宗門」という言葉に引っかかるところがあり、「青空文庫」を閲覧してみて仰天した。かくもキレキレの白秋にお目にかかるのは、遅まきながら初めてだったのだ。童謡のイメージが見事に粉砕された瞬間だった。と同時に、ロックビートが耳に蘇ってきて、それで朗誦することにした。詩人の若き時は、なぜこうも尖っているのだろう。歳を取り名声や勲章を手にすると、鋭さはなまってしまうのか。政治にしろ芸術にしろ、「みんなに愛される」のは、結局「誰にも愛されない」ことか。「嫌われ者」が理想?  When I hear the name Kitahara Hakushu, the first thing that comes to mind is children’s songs. And not just any children’s songs, but those impeccably “model-student” masterpieces that seem to belong in school textbooks alongside the poems of Kaneko Misuzu. For a jaded fellow like myself, they were simply too wholesome to be interesting.  So for a long time, I left Kitahara completely untouched. But one day, the word Jashūmon somehow caught my attention. I looked it up on Aozora Bunko—and was astonished.  This was the first time, late though it may have been, that I had encountered such a sharp-edged, dazzlingly intense Hakushū. In that moment, my image...

知ってるつもり、分かったつもり? (「ラジオ深夜便」ぼくたちの旅する生き方 池澤夏樹×石川直樹)

世界が「令和」に征服されているから、改元の話題はやめる。
代わりに、早朝の対談が素晴らしかったので、それについてを。

自分を更新(アップデート)

池澤夏樹と石川直樹。両者は「旅」する作家と写真家。とりわけ、石川は23歳当時、七大陸最高峰の世界最年少記録を達成した冒険家(後年、記録は破れる)。しかし、石川自身、冒険家にはなれない、と。身を削ってまで極点を制するのでなく、今は、キツい環境の中に身を置くことで、自分を更新(アップデート)することのほうに関心がある、と。そこで出会う風景を、中判のフィルム・カメラに収めるのが仕事。だから「写真家」と名乗っている。

都会では、エアコンを使って周り(環境)を変えようとする。が、エベレストその他の局地では自分が変わるしかない。日常では「12時になったから昼食」「10時だから寝る」といったルーティーンをなぞるが、大自然にいると、呼吸ひとつとっても意識せざるを得なくなる。変化を恐れず、我が身体と常に対話しながら目的地に向かう。そんな数ヶ月を過ごすと、自分の中身がすっかり変わっている。0になって、色んなアイデアが浮かぶ。これが爽快なのだ、とーー。

とにかく出ろ!

今度は、旅の作家。世界はネットだけじゃない。それで良しとするのは勿体無い。素人ばかりの社会だけど、プロを尊敬して欲しい。それだけ彼らは現地へ行き、命がけで取材する。力のある作品が提供出来る。お手軽に撮って交換ではないのだ、と。ああ、彼の作品、そして編纂する文学全集の愛読者だけに、耳が痛い。御歳73の文豪はただの小煩い爺やではないのである。
 

世界を気にすること

旅に出れば、帰国してもその地が気になる。そこで出会った人々や風景が、報道されることで記憶に立ち上がってくる。無関心でいられない。「知った気」でいられない。

旅は日常に

良質な文学に触れる、会社を興す、子育て等々、、、新たなことを始めるのも旅だ。車椅子のお世話になっても、角のタバコ屋に行くまでが旅だ。自分の力量をちょっと超えることに挑む。ぼーっと生きてんじゃねえよ!、と、また厳しい作家。
石川はその点、楽天的。「知ってるつもり」じゃなく、世界と向き合うこと=旅はそれ自体、面白いし、楽しい、と。私も「福ポエ」での会話を思い出した。底が開いた靴が笑って見える。それだけで笑えるじゃないか。人生を楽しむための「詩」なんだ、と死から生還した彼の言葉が印象的だった。

(※内容を趣旨に沿って、所見を交えつつ略述した)


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