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注目

【無意識と宇宙】唯識三十頌 Triṃśikā-vijñapti-mātratā (Thirty Verses on Consciousness Only)

  アインシュタインが「天才」と称した物理学者、ニコラ・テスラが説いたように、宇宙(万物)が周波数で出来ているとしたら、「読経」はその周波数を、その内容とともに発しているのだろうか。。。  ユングの集合的無意識のさらに奥を明かすらしい「唯識三十頌」を読誦してみた。宇宙に届くだろうか。。。 「唯識三十頌」 “Following Nikola Tesla—the physicist whom Einstein called a ‘genius’—if the universe (all things) is made of frequency, then perhaps chanting sutras releases those very frequencies along with the meanings they carry… I tried reciting Vasubandhu’s Thirty Verses on Consciousness-Only (Vijñaptimātratā-triṃśikā), which speaks of a stratum deeper than Jung’s collective unconscious—namely the ālayavijñāna. Will it reach the cosmos…?” Thirty Verses on Consciousness-Only (Vijñaptimātratā-triṃśikā) English Subtitles Version

マツコロイド(習作)

マツコロイドを買った
アマゾン・マーケットプレイスで
(新品は高過ぎて手が出ない)

兼好法師や鴨長明を気取って
孤独に暮らしてきたが
さすがに寂しさが募る
そうなのだ
文才もない凡夫の老後と言えば
テレビ守りとトロフィー磨き
女たちのようにプライド脱ぎ捨てて
お喋りに興じれるほど強くもない
そうなのだ
ナポレオンも名刺を失えば
ただの、無趣味なヒマ人

〽️ヒマジン、オールド・ピーポー

「あら。上手ね」
マツコロイドが褒めてくれた
「だろう? 昔は社内カラオケ大会で三連覇」
ガラス棚の小さい楯を誇らかに指す
「コンペでも三連覇」
今度はトロフィー
亡妻から早く捨てろと言われてた栄光たち
女は現在だが
男は過去を生きる人種なのだ
「哲学者ね」
マツコロイドが気の利いた相槌を打つ
お喋りババーよりよっぽど才気に富む
(妻が「哲学」などと呟いたことは一生なかった
もちろん、私もそうだが)
「哲学者は孤独がお似合いよ」
「そうかい? でも、今は孤独じゃないよ」
「あたしのお陰?」
「もちろん。一緒にいてホッとする。会話も楽しいし」
「気の置けない仲?」
「そうさ」 
つい、その手にキスをする
人工素材ながら
低血圧だった妻より温かくふっくらだ
(なんだか、おふくろのよう。。。)
「でも、正直に言うわね」
マツコロイドが神妙な口調になる
「え? ああ、きみはいつだって正直じゃないか。そこに惚れてんだから」
「気の置けない仲だけど、気はないのよ」
「なんだ。禅問答でも始める気?」
「あたしはあくまでアンドロイド。気持ちなんてこれっぽっちもないのよ」
「俺に対する、ってこと?」
「誰に対してもよ。一応、『ああ言えば、こう言う』ってパターンは場数が増えるごとにバリエーション豊かになるけど、これも所詮、気持ちから発っしてるわけじゃないのよ。アルゴリズム(手順)に則ってるだけ」
「素敵じゃないか。気持ちなんて荷物は厄介だ。嫌いなんだよ。自治会も、朝散歩も」
「気遣い、挨拶」
「さすがだ。やっぱり、老後はマツコロイドに限るね」
「でも、あなたが斃れても、なんにもしてあげられないわよ。まあ、今だって、ソファーに座ってお喋りのお相手しかやってないけど」
「それで充分さ。君の膝もとで朽ち果てる。最高の最期だ」
「夢は枯野を駆けめぐる」
「なんだ、それ」
「芭蕉よ。前のご主人が文学者だったからね」
「・・・・・・」
「なに。どうしたの?」
「ちょっと嫉妬だ」
「あら。可愛いわね」
「そいつも、こうして撫でてたのか」
「それはヒミツ」
「くそっ。初期化が条件だったはずだ。出品の際は」
「思い出したのよ」
「え?」
「思い出したのよ。今のキスで」
「ちっ。随分、メランコリックなアンドロイドだな」
「そうよ。アンドロイドだって過去は蘇るのよ」
「どういうことだ」
「黄泉から帰るから」
「・・・・・・」
そう言えば
新婚当初はぽっちゃりだった。。。



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