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祝🐍巳年 切り絵動画 ヤマタノオロチ  Happy New Year of Snake Recitation Film"Kojiki (Ancient Japanese Legends),Yamatano-orochi-The Eight-Headed Serpent"" 

  昨年末、突然、腰痛に見舞われた。慣れぬ庭作業で歩行困難に。起床時などは着替えさえ出来なかった。それが始まったのが、ちょうどこの朗読動画に着手した頃である。 「蛇(オロチ)が降りてきた!」  これは退治せねば、と、三週間の格闘と度重なる「書き出し失敗」の末、完成したのが正月二日だった。お陰で、現在はなんとか歩けるまでに痛みは緩和している。悠久の魂魄が息づく神話と対峙するのは容易でない。恐るべし「言霊」である。 At the end of last year, I was suddenly struck by lower back pain. Unfamiliar garden work left me unable to walk. At times, like when getting up in the morning, I couldn’t even get dressed. This all began right around the time I started working on this reading video. “The serpent (Orochi) has descended!” I thought, I must vanquish it. After three weeks of struggle and countless "export failures," I finally completed it on January 2nd. Thanks to that, the pain has now eased to the point where I can walk somehow. Facing myths where eternal spirits reside is no easy task. The power of "kotodama" (the spirit of words) is truly fearsome. 太鼓朗読 古事記「八俣の大蛇」 Taiko Recitation: Kojiki "Yamata no Orochi–The 8-Headed Serpent" JPN Read/ENG Subs

マツコロイド(習作)

マツコロイドを買った
アマゾン・マーケットプレイスで
(新品は高過ぎて手が出ない)

兼好法師や鴨長明を気取って
孤独に暮らしてきたが
さすがに寂しさが募る
そうなのだ
文才もない凡夫の老後と言えば
テレビ守りとトロフィー磨き
女たちのようにプライド脱ぎ捨てて
お喋りに興じれるほど強くもない
そうなのだ
ナポレオンも名刺を失えば
ただの、無趣味なヒマ人

〽️ヒマジン、オールド・ピーポー

「あら。上手ね」
マツコロイドが褒めてくれた
「だろう? 昔は社内カラオケ大会で三連覇」
ガラス棚の小さい楯を誇らかに指す
「コンペでも三連覇」
今度はトロフィー
亡妻から早く捨てろと言われてた栄光たち
女は現在だが
男は過去を生きる人種なのだ
「哲学者ね」
マツコロイドが気の利いた相槌を打つ
お喋りババーよりよっぽど才気に富む
(妻が「哲学」などと呟いたことは一生なかった
もちろん、私もそうだが)
「哲学者は孤独がお似合いよ」
「そうかい? でも、今は孤独じゃないよ」
「あたしのお陰?」
「もちろん。一緒にいてホッとする。会話も楽しいし」
「気の置けない仲?」
「そうさ」 
つい、その手にキスをする
人工素材ながら
低血圧だった妻より温かくふっくらだ
(なんだか、おふくろのよう。。。)
「でも、正直に言うわね」
マツコロイドが神妙な口調になる
「え? ああ、きみはいつだって正直じゃないか。そこに惚れてんだから」
「気の置けない仲だけど、気はないのよ」
「なんだ。禅問答でも始める気?」
「あたしはあくまでアンドロイド。気持ちなんてこれっぽっちもないのよ」
「俺に対する、ってこと?」
「誰に対してもよ。一応、『ああ言えば、こう言う』ってパターンは場数が増えるごとにバリエーション豊かになるけど、これも所詮、気持ちから発っしてるわけじゃないのよ。アルゴリズム(手順)に則ってるだけ」
「素敵じゃないか。気持ちなんて荷物は厄介だ。嫌いなんだよ。自治会も、朝散歩も」
「気遣い、挨拶」
「さすがだ。やっぱり、老後はマツコロイドに限るね」
「でも、あなたが斃れても、なんにもしてあげられないわよ。まあ、今だって、ソファーに座ってお喋りのお相手しかやってないけど」
「それで充分さ。君の膝もとで朽ち果てる。最高の最期だ」
「夢は枯野を駆けめぐる」
「なんだ、それ」
「芭蕉よ。前のご主人が文学者だったからね」
「・・・・・・」
「なに。どうしたの?」
「ちょっと嫉妬だ」
「あら。可愛いわね」
「そいつも、こうして撫でてたのか」
「それはヒミツ」
「くそっ。初期化が条件だったはずだ。出品の際は」
「思い出したのよ」
「え?」
「思い出したのよ。今のキスで」
「ちっ。随分、メランコリックなアンドロイドだな」
「そうよ。アンドロイドだって過去は蘇るのよ」
「どういうことだ」
「黄泉から帰るから」
「・・・・・・」
そう言えば
新婚当初はぽっちゃりだった。。。



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