米大臣がメディアを賑わす昨今、今に始まった事ではない戦後日本の食糧政策、とりわけ日本を日本たらしめる「米」、「稲作」への政府の考え、施策に日頃から疑問を抱いていたところ、このタイトルが目に止まった。
丸本彰造著『食糧戦争』
農政の専門家、鈴木宣弘氏の推薦書でもあったので、早速、国立国会図書館のデジタルアーカイブで閲覧。
『食糧戦争』
感銘したのは、「食糧教育の重要性」で紹介されていた、ドイツの生活食糧敎育(ドイツ產業に對する十箇條の戒律)。それを以下に原文のまま挙げる。
ー、一銭の經費を支拂ふにもドイツ人の利益となるやう考慮すべし
二、外國品の輸入はそれだけ自國を貧窮ならしむる結果となることを忘るべからず
三、各自の金銭を決してドイツ人以外のものに利得せしむべからず
四、ドイツの工場は外國製機械を使用すべからかず
五、外國食料品を食卓に上すことは斷乎として排撃すべし
六、字を書くにはドイツのペン、ドイツのインク、ドイツの吸取紙を用ひてドイツの紙に書く
こと を要す
七、ドイツの小麥粉、ドイツの果實、ドイツのビールのみが眞のドイツ魂を養ふものなることを知らざるべからす
八、コーヒーはドイツ製なるかドイツ植民地製に限るべし
九、衣服にはドイツの布を用ひドイツ製帽子を使用すべし
十、外人の言に迷はず戒律を破らざる様注意しドイツ製品が祖國ドイツに唯一最高の價値あることを堅く信ずべし
最後が凄い。「ドイツ製品が祖國ドイツに唯一最高の價値あることを堅く信ずべし」
これを、「時代錯誤」と一笑に付すことも出来よう。が、しかし、現在の日本はどうか。一体、この国の政財界は「祖国」なんてことを考えているのだろうか。考えているように見えて、実は、我が身内・我が身ファーストなのではなかろうか、と疑念を禁じ得ない。
梅雨も早々と明け、いよいよ夏の参議院選間近。所得は伸びず、人口は減る一方の日本。内側から崩壊を招いてでもいるような、実にヤバい瑞穂の国の未来に対する警鐘が、この書に響いている気がする。
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